知る

日本のビール発祥の地?!「麦酒祭 むぎざけまつり」

滋賀県の伝統祭事に、約580年も続くビールの元祖と呼ばれているものがあることをご存じでしょうか?

 滋賀県の伝統祭事に、約580年も続くビールの元祖と呼ばれているものがあることをご存じでしょうか?

 毎年7月18日、甲賀市水口町牛飼の総社神社で「麦酒祭-むぎざけまつり-」が執り行われています。

*代々その年の宮守が自家栽培している4種類の麦(裸麦・ビール麦・大麦・小麦)

麦酒祭のはじまり

約580年前に本殿修履の竣工際時に、新麦をもって麦酒を醸り、麦の豊作を感謝し、五穀豊穣に合わせ、暑気の悪疫魔退除を祈願されたのが始まりとされています。

麦酒を醸造する

今年の宮守(氏子総代で数え年60歳、早生まれの男性が毎年選ばれます)と親族家族、前年の宮守(指導および補佐役)が醸造人となります。
前日17日早朝に地元へと流れる飯道山の清水を桶でくみ取り、社務所にて醸造作業が始まります。
ろ過した清水を沸かし、宮守が、代々受け継いでいる大麦・裸麦・ビール麦・小麦の4種類を自家栽培し、その収穫した4種類の麦を蒸し、冷めたところで米麹(昔は、麦麹でした。)と適温にした湯を木桶に入れ仕込みます。
一定の時間ごとで大きな木のしゃもじでかき混ぜて、仕込み時間をずらした3桶の発酵を促します。
*仕込み時間をずらした3桶を仕込むのは、翌18日の祭典時刻で一番出来の良いものを奉納するため。
社務所内温度変化に気を配りながら、発酵具合(桶内を37度)によっては、室内を温めたり、“酒ほがい”という太鼓を叩く作法で発酵を促したり、発酵が行き過ぎた場合は、製氷袋で発酵を調整し、夜半ごろから桶内にプクプクと小さな泡が立ちだし、特有の香りが漂い、翌朝に麦酒が出来上がります。

昔は、税務署員が密造酒の疑いがあると調査に来られていましたが、醸造量を規定し、アルコール度数も1%未満に抑えることを約束し、現在は公認されています。

祭事当日(18日)は、出来上がった3桶を宮司が試飲し、その中で味の良い1桶が決められ、宮司と現宮守、前宮守の3人で拝殿から本殿へ奉納されます。

平成13年より滋賀県無形民俗文化財に牛飼の宮守行事が指定されています。

出来上がった麦酒はどのようなものか想像できますか?

のどごしのいいプハーっとはいきません。
知っているビールとは醸造が違い(アルコール酵母が入っていません。)、どちらかというと麦で作った甘酒というとイメージしやすいですね。
味は、どぶろくのような、どろっとしていて優しい甘味の中にほんのり酸味があります。
代々続く伝統のお味です。

伝統を受け継ぐということ

通常、伝統を後継者へ引き継ぐ際は、家系や強い血縁などを考えてしまいますが、祭事の大半を担う「宮守」という役職は、この地域に住む還暦年の早生まれの方が選出されます。
マニュアルといえるような書類は少なく、前宮守の知識を言葉で繋ぎます。
麦を育てる知識も、奉納作法も、もちろん醸造知識についてもそこで初めて引継ぎが行われます。(氏子総代3名もサポートされます。)

現在は、観光協会とも協力し、県内外に向けて祭事をアピールされ、「たくさんの方に見に来てほしい」とおっしゃられていました。

クラフトビールが脚光を浴びていますが、ビールの始まりを知る、感じる、飲める?!貴重な祭事にぜひ訪れてください。

総社神社宮守(池村様)、氏子総代(山田様)の取材を元に作成いたしました。