食べる

伝統と革新を織り交ぜた糀屋

糀屋吉右衛門は野洲市の三上山の麓で、江戸時代より約180年前の創業時(天保11年)と変わらない製法で代々受け継ぎ、糀や味噌、甘酒、糀たねを使ったパンなどを製造・販売しています。

糀屋吉右衛門とは

野洲市の近江富士の麓で、江戸時代より約180年前の創業時(天保11年)と変わらない製法を代々受け継ぎ、糀や味噌、甘酒、糀たねを使ったパンなどを製造・販売しています。

こだわり

創業当時から変わらぬ製法を守りながら原材料も地元産にこだわった糀作りをしています。
昔から近江富士の麓には、豊かな土壌と綺麗な水があり、そこで作られるお米は美味しいと言われています。
糀の原料であるお米は、そのような土地で自家栽培したお米と契約農家が丹精込めて栽培された近江米のみを使用し、大豆も地元契約農家で栽培したものを使用しています。

伝統の糀作り

糀作りは、昭和30年代から使っている大きなかまどに、白米を15kg入れたせいろを4段(合計60kg)重ねて、薪を使用し、蒸し上げます。

蒸し上がったお米を広い台の上で撹拌し、人肌に近い温度まで冷まします。
丁寧にお米をほぐし、種糀を均等に混ぜ合わせた後、20時間をかけゆっくりと床発酵させます。
“床もみ”(蒸米に種糀の胞子が均一に付着するように揉みこむ作業)を2回繰り返し、木製の糀蓋(糀を作る木箱)へ移し替え、“盛り”作業へ進みます。
糀蓋に糀を薄く広げ、さらに空気に触れる面積を増やすために、いくつもの細かい筋をつける“筋つけ”をします。
糀室で丸一日、温度管理に気を付けて発酵させ、最後に丸一日放冷してようやく糀が完成します。

代々受け継がれてきた伝統の製法と経験により香り豊かで優しい甘味の糀が出来上がります。

すべてを手作業で行う昔ながらの製法ですが、この手間隙をかけることでしっかりとふわふわした糀菌がお米全体をびっしりと覆い、ここでしか作ることのできない素朴で味わい深い糀が出来上がります。

自分で作る喜び

「はっこう広場」と名付けられたコミュニティ調理スペースを活用し、「糀や味噌などの発酵食品の魅力をもっと多くの方や若い世代に知ってほしい」という思いから手作り味噌の教室を始めました。
毎年、開催しており今や、リピーターも数多く訪れる大人気教室となっています。

また、地域の学校や自治会館等でも出張教室を精力的に行い、県外に講師としても呼ばれることもあり、ご活躍の場は広がっています。

冬に仕込んで夏を越え、半年間じっくり発酵し、旨味がギュッとつまった優しい味噌ができるまでの背景がわかるので、より美味しく食べることができます。
その過程を体験した親子が本物の味噌の魅力に気づき、また来年も!とファンが年々増えています。

参加した子どもたちは、“糀とは?” “味噌はどのように出来ている?”等、基本的な発酵の知識を学び、実際に作る工程を体験します。
「学ぶ」、「作る」、「食べる」を通じてるからこそより印象に残る食育体験になります。

次世代へ繋ぐ

現在、糀などの製造は親子で行っています。手作業がほとんどなので、原材料の運搬だけでも重労働です。
しかし、代々引き継がれている糀作りの製法は、言葉だけで伝えることが難しく、経験や勘といったものも必要となります。
また、品質維持や原材料費の高騰、大量生産品との価格競争等から、昔ながらの手間隙かけた糀作りだけでは存続が難しくなってきました。

そのような中、補助金などを利用し、1度に300kgまで糀を作れる機械を導入しました。
この機械のおかげで、今まで作業するには最低2人は必要だったのが、仕上がった糀を機械から出す作業以外、1人でも作業が可能になりました。
機械で製造している糀も技術と経験の融合により、均等に発酵している良い糀が出来上がります。

今までの経験や勘という、受け継ぐことが難しいことを、糀の製造械の導入により次世代に繋げる努力をしています。

これから

手作り味噌教室に参加された方や糀や味噌などを買われた方からの購入した味噌や糀が美味しかったとの評判が良く、また手作り味噌教室へ参加したいと口コミが広がっています。
価格競争に負けない、こだわりの商品を作り続けていくことが目標だそうです。

新事業として、糀たねを使ったイースト菌不使用のパン教室を開催され、こちらも大変人気で、今は糀たねと塩糀を使用したパンを土曜日限定で店頭販売しています。

さらに、前庭に近江富士を望むオープンテラスを設け、憩いの場を提供しています。

代々受け継がれている製法を守りながら、次世代にも目を向けた取り組みをされている糀屋吉右衛門の今後のご活躍に目が離せません!


*本記事は、糀屋吉右衛門 山﨑様の取材を元に作成しております。